
はじめに

「保険なんて一度加入すれば大丈夫でしょ?」
こんな風に考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、保険は一度加入すれば一生涯安心というものではありません。むしろ、人生の様々なステージで、見直しが必要なのです。
保険を見直さないまま放置してしまうと、一体何が起こるのでしょうか?
今回は保険の見直しを怠ることの危険性と、保険の見直し方法や保険自体が不要な人について、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきます。
保険を見直さないことで起きるトラブル事例

保険の見直しを怠ると、様々なリスクが伴います。
見直しを怠ったことによる具体的な失敗例を交えて詳しく解説していきます。
1. 保障の不足に気づかない
- ケース1:結婚後、死亡保険のみで対応 Aさんは結婚後、死亡保険にしか加入していませんでした。しかし、子供が生まれ、将来の教育費や生活費を考えると、死亡保険だけでは十分な保障とは言えなくなりました。万が一、Aさんに何かあった場合、妻と子供は経済的に困窮してしまう可能性があります。
- ケース2:高齢になっても若い頃の保険のまま Bさんは、若い頃に加入した医療保険に長年加入し続けていました。しかし、高齢になり、病気のリスクが高まるにつれて、現在の保険では十分な保障が得られないことに気づきました。高額な医療費がかかる病気になった場合、自己負担額が大きくなり、生活に大きな影響が出る可能性があります。
2. 保険料の無駄遣い
- ケース3:子供が独立しても学資保険払い続け Cさんは、子供が大学を卒業したのに、学資保険の支払いを続けていました。子供の教育費はすでに支払いが終わっているため、この保険は不要な支出となっています。
- ケース4:複数の保険で重複保障 Dさんは、複数の生命保険に加入しており、死亡保険金が重複して受け取れる状態になっていました。保険料の支払額が無駄に大きくなっているだけでなく、いざという時に手続きが複雑になる可能性もあります。
3. いざという時に備えられない
- ケース5:病気で働けなくなり、生活が困窮 Eさんは、病気で働けなくなり、収入が途絶えてしまいました。収入保障保険に加入していなかったため、生活費を捻出するために貯金を切り崩さなければならなくなりました。
- ケース6:住宅ローンが残ったまま死亡 Fさんは、住宅ローンが残っている状態で亡くなりました。家族は、住宅ローンを支払うことができず、家を売却しなければならなくなりました。
保険を見直すべきタイミング

保険を見直すべきタイミングは、人それぞれ異なりますが、以下のタイミングは特に見直すことをおすすめします。
1. ライフステージの変化時
- 結婚: 配偶者の加入している保険との重複や、将来の家族構成を考慮した保障内容の見直しが必要です。
- 例: 結婚を機に、死亡保険金を受け取ることができる相手を配偶者に変更する。
- 出産: 子供の将来の教育費や生活費を考え、必要な保障額を見直す必要があります。
- 例: 子供が生まれたことを機に、医療保険や学資保険への加入を検討する。
- マイホームの購入: 住宅ローンを組む場合は、団体信用生命保険への加入が義務付けられている場合が多いです。また、住宅ローンが残っている場合は、万が一の際に家族が困らないよう、保障額を見直す必要があります。
- 例: 住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険の内容を確認し、必要に応じて生命保険を補填する。
- 子供の独立: 子供が独立すると、教育費に関する保険は不要になる可能性があります。
- 例: 子供が大学を卒業したため、学資保険の契約を解約する。
2. 経済状況の変化時
- 転職: 転職を機に、会社から提供される福利厚生や保険制度が変わる場合があります。
- 例: 新しい会社では団体保険に加入できるため、個人の生命保険を見直す。
- 収入の変化: 収入が増減した場合、保険料の支払額や保障内容を見直す必要があります。
- 例: 収入が増えたため、保険料をアップして保障内容を充実させる。
3. 健康状態の変化時
- 病気やケガ: 病気やケガをした場合、健康状態が変化し、必要な保障内容も変わることがあります。
- 例: 重病を患ったため、医療保険の見直しを行う。
4. 親の介護:
- 親の介護が必要になった場合: 親の介護が必要になると、介護保険や介護医療保険の利用を検討する必要があります。
- 例: 親の介護が必要になったため、介護保険サービスを利用し、介護保険に加入する。
5. 保険商品の更新時期:
- 保険契約の更新時期は、見直しの良い機会です。
- 例: 生命保険の更新時期に合わせて、保険料の見直しや保障内容の変更を行う。
新しい保険と古い保険の大きな違い

保険商品は時代に合わせて日々進化しており、かつての保険と現在の保険には大きな違いがあります。
保険を長い間見直していない場合は、十分な補償を受けられない可能性もあります。
新しい保険と古い保険の主な違いを解説しますので、保険選びの参考にしていただければと思います。
1. 保障内容の多様化と高度化
- 特定疾病の保障充実: かつては、死亡や入院といった基本的な保障が中心でしたが、現代の保険は、がん、心疾患、脳血管疾患など、特定の疾病に特化した保障が充実しています。
- 先進医療への対応: 医療技術の進歩に伴い、高額な先進医療を受ける機会が増えています。新しい保険では、先進医療の費用を補償する特約が充実し、いざという時にも安心して治療を受けられるようになりました。
- 生活支援サービスの付帯: 保険金だけでなく、病気やケガをした際に、食事の配達や家事代行などの生活支援サービスが付帯される保険も増えています。
2. 保険料の支払い方法の多様化
- 掛け捨て型と貯蓄型の選択: かつては貯蓄型の保険が主流でしたが、現在は、保険料が比較的安価な掛け捨て型の保険が人気です。
- 保険料の支払頻度: 月払いや年払いのほか、口座振替やクレジットカード払いなど、さまざまな支払い方法が選べるようになりました。
3. インターネットを活用した契約手続き
- オンライン契約: 従来は保険代理店を通じて契約するのが一般的でしたが、現在は、インターネットを通じて簡単に契約手続きを行えるようになりました。
- AIによる診断: 一部の保険会社では、AIを活用した健康診断や保険相談サービスを提供しており、より自分に合った保険を選ぶことができます。
4. 契約期間の柔軟化
- 短期型の保険: 短期で保障を受けたいというニーズに対応し、1年単位で更新できる短期型の保険が普及しています。
- 終身型の保険: 一生涯保障を受けたいというニーズに対応し、終身型の保険も依然として人気があります。
どれくらいの保険料が適切?

一般的に、保険料は収入の割合で考えることが多く、手取り収入の5~7%が目安とされています。
しかし、これはあくまでも一般的な目安であり、個人によって最適な割合は異なります。
保険料は家計にとって大きな支出です。収入の割合を目安にすることで、家計が圧迫されすぎないようにすることができます。
以下の表は年収と保険料の目安になりますので参考にしてください。
年収 | 手取り収入 | 保険料の目安(手取り収入の5~7%) |
---|---|---|
400万円 | 300万円 | 15万円~21万円 |
600万円 | 450万円 | 22.5万円~31.5万円 |
800万円 | 590万円 | 29.5万円~41.3万円 |
1000万円 | 730万円 | 36.5万円~51.1万円 |
保険料を決める際には、収入だけでなく、以下の要素も考慮する必要があります。
資産: 貯蓄や投資など、他の資産がある場合は、保険料を抑えることができるかもしれません。
家族構成: 配偶者や子供がいる場合は、彼らの保障も考慮する必要があります。
健康状態: 病気やケガのリスクが高い場合は、保険料が高くなる可能性があります。
職業: 職業によっては、職業特有のリスクに対応した保険が必要になる場合があります。
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保険見直しで失敗しないためのステップ

保険の見直しで失敗しないためには以下のステップで見直しを進めましょう。
1. 現在の保険内容を把握する
- 契約内容の確認: 保険証券や保険契約内容証明書をよく読み、保障内容、保険料、解約返戻金などを確認しましょう。
- 加入している保険一覧の作成: 複数の保険会社に加入している場合は、全ての保険契約内容を一覧表にまとめると、比較しやすくなります。
- 保険会社への問い合わせ: 不明な点は、保険会社に問い合わせて、丁寧に説明してもらいましょう。
2. 見直し目標を設定する
- 将来の目標: 老後資金、子供の教育資金、住宅ローンなど、将来の目標を明確にしましょう。
- リスクへの備え: 死亡、病気、ケガなど、どのようなリスクに備えたいのかを具体的に考えましょう。
- 予算: 月々の保険料の予算を決めましょう。
3. 複数の保険会社を比較検討する
- インターネット活用: 各保険会社のウェブサイトで、商品内容や保険料を比較検討しましょう。
- 保険代理店への相談: 専門家である保険代理店に相談することで、自分に合った保険を選ぶことができます。
- 複数の意見を聞く: 複数の保険代理店に相談し、それぞれの意見を比較検討することも重要です。
4. 自分に合った保険を選ぶ
- 保障内容: 自分のリスクに合った保障内容が充実しているかを確認しましょう。
- 保険料: 予算内で無理なく支払える保険料であるかを確認しましょう。
- 解約返戻金: 解約する場合の返戻金も確認しましょう。
- 保険会社のサービス: 保険金請求の手続きや相談窓口などのサービスも比較しましょう。
5. 解約手続きを行う(必要に応じて)
- 新しい保険への加入: 新しい保険に加入してから、古い保険を解約しましょう。
- 解約返戻金: 解約返戻金がある場合は、手続きを進めましょう。
- 税金: 解約返戻金に税金がかかる場合がありますので、事前に確認しましょう。
保険は専門家に相談したほうが良い理由

保険を選択する際に自分でネットで加入する人もいますが、ご家族がいる方は専門家に相談することをおすすめします。
保険の専門家(ファイナンシャルプランナーなど)に相談するメリットはたくさんあります。
客観的な視点と豊富な知識
- 多様な保険商品を深く理解しており、お客様の状況に合った最適な商品を提案できます。
- 保険市場の最新情報も常に把握しているため、より有利な選択肢を提示できます。
- ご自身では気づきにくい保険内容の問題点や改善点を指摘してもらうことができます。
最適なプラン設計
- 結婚、出産、退職など、人生の大きな転機に合わせて、保険の見直しを提案してくれます。
- 不要な保障を削り、保険料の無駄遣いを防ぐことができます。
- 現在の保険でカバーできていないリスクに対応できる保障を提案してくれます。
手続きのサポート
- 保険の見直しに伴う複雑な手続きを代行してくれます。
- 契約内容を丁寧に説明し、誤解なく契約を進めることができます。
保険のことについて相談相手にFPを選ぶことで、収入や資産などを考慮して必要な補償額などをシミュレーションしてもらえます。
保険が不要と言われる人の特徴

「保険は必ずしも全員に必要なわけではない」という声もよく聞きます。
保険が不要と言われる人の中には、以下のような特徴を持つ人がいます。
- 十分な貯蓄がある人
- 高額な医療費や、収入が途絶えた場合の生活費を、自身の貯蓄で十分に賄える場合、保険の必要性は低くなります。
- 扶養家族がいない人
- 配偶者や子供など、経済的に扶養している家族がいない場合、自身が亡くなっても、残された家族の生活に大きな影響を与える心配はありません。
- 国からのサポートが手厚い人
- 公務員など、国からのサポートが手厚く、病気やケガの場合に、一定の保障を受けることができる場合、民間の保険への加入は必要ないと考える人もいます。
- リスクを恐れない人
- 万が一の事態が起こる可能性を低いと判断し、保険料を支払うよりも、そのお金を別のことに使いたいと考える人もいます。
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保険に加入しないことで起こりうるトラブル

保険に加入していないと、様々なリスクに晒される可能性があります。
以下に、具体的なよくあるトラブルを10個ご紹介します。
1. 病気で高額な治療費が必要になったケース
健康診断で早期の肺がんが見つかり、手術や抗がん剤治療が必要になった。高額療養費制度の自己負担上限額を超える医療費がかかり、貯金を切り崩しても足りず、親族に援助を求めることになった。
2. 事故で働けなくなり、収入が途絶えたケース
自転車に乗っていて転倒し、脊髄を損傷し、下半身不随になった。高額な介護費用がかかる上に、仕事に復帰できず、収入がゼロに。障害年金を受給しているが、以前のような生活水準を維持するのは難しい。
3. 家族の病気で多額の費用がかかったケース
幼い子供が白血病と診断され、骨髄移植が必要になった。高額な医療費に加え、長期入院に伴う生活費も負担となり、家族は経済的に困窮。住宅ローンを滞納し、家を売却することを検討せざるを得なくなった。
4. 自然災害による住宅の損壊
大地震で家が全壊し、住む場所を失った。家財道具もすべて失い、仮設住宅での生活を余儀なくされた。保険に入っていれば、被災後の生活再建のための資金として活用できたのにと後悔している。
5. 老後の生活資金が不足したケース
定年退職後、年金だけでは生活が苦しく、医療費や介護費用を捻出することが難しくなった。老後になって認知症を発症し、特別養護老人ホームに入所することになったが、高額な費用がかかり、子供たちに経済的な負担をかけてしまった。
6. 死亡による家族の生活の困窮
家族の生計を支えていた父親が、突然心筋梗塞で亡くなり、残された妻と子供たちは生活が困窮した。父親の生命保険がなかったため、住宅ローンや子供の教育費を支払うことができず、生活レベルを大幅に下げなければならなくなった。
7. 障害による収入の減少
仕事中に機器の誤操作により、手を負傷し、専門的な仕事ができなくなった。収入が大幅に減少し、生活水準が低下。将来への不安を感じている。
8. 失業による収入の減少
会社の倒産により失業し、再就職活動が長期化。貯金を切り崩しながら生活しているが、生活費が底をつきそう。
9. 子供の進学費用が捻出できない
子供が大学に進学したいと言っているが、高額な学費を支払うことができない。奨学金を借りようとしたが、返済が不安で、子供の将来を考えると心が苦しい。
10. ペットの病気やケガ
愛犬が病気になり、高額な治療費が必要になった。ペット保険に加入していなかったため、治療費の支払いに苦労し、愛犬の治療を諦めざるを得ない状況になった。
まとめ
保険について真剣に考える機会は普段の生活ではほとんどありません。
多くの方が実際にトラブルが発生した時やニュースで不幸なトラブルが放送された時などに初めて検討します。
実際にトラブルが起きてからでは遅いので、保険は計画的に見直しましょう。